Actors of Juveniles　〜フィフィ編〜



第一話「フィフィとラキュリア」



「フィフィ、今までありがとう。それと…ごめんね…。」
そう言ってあの人はふぃふぃの前から去っていったんだ。
たくさん酷いこともされたけど…やっぱりふぃふぃはあの人のことがだいすき…。
早く…逢いたいよ…。


「………あっ…朝か。いけないまた寝過ごしちゃうところだったよ。」
テントの中で少女は目覚める。
外から漏れてくる光からすると、起きるのは少し遅い時間のようだ。
少女は慌てて飛び起きると、巨大なリュックから着替えを取り出し、
可愛い狼が「がお〜」と吠えている絵がたくさんプリントされたパジャマから着替はじめる。
まだ幼さを残したその身体は、お世辞にもまだ「女」と呼べるものではない。
まぁ一部の趣味の方には好評だろうが。
慣れているのか少女はすばやく着替えを終えた。（残念）
動きやすさと丈夫さをかね合わせたその服装は、彼女が旅人であることを示していた。
「よし準備しゅうりょ〜。」
少女はリュックサックと愛用の大剣をもってテントの外に出る。
外のまぶしさに一瞬目を細めるが、すぐに目はなれた。
どうやら今日は最高の天気のようだ。
「にほんばれって奴だね。にほんってところに行ったことはないけど…。」
少女はさっさとテントを折りたたみリュックサックの中へ詰め込んだ。
テントは持ち運びと設営の大変さから、あまり旅人には好まれないのだが、
睡眠に貪欲な彼女は、これを愛用していた。
「さてと、じゃあしゅっぱ〜つ！」
巨大なリュックと巨大な剣、これを楽々と担いで少女は歩き始める。
少女の名はフィフィ。
憧れの人物を探して、様々な世界を飛び交う旅人である。


現在フィフィがいるのは剣と魔法の世界、俗に言うファンタジー世界という奴である。
モンスターが暴れ周り、様々な力をもった人間を初めとする知的生物たちがそれを倒す、
それが日常の世界だ。
多少の違いはあるものの、
同じくファンタジー世界出身のフィフィにとってはすごしやすい世界であった。
「前の街でもらった地図によるとこの辺なんだけど…」
次なる街を目指して、歩き続けているフィフィだったが、なかなか目的地にたどり着かない。
気付けばだいぶ日は傾いていた。
モンスターたちが活動をはじめる時間である。
もう一度地図を確認しようかと歩みを止めたとき、フィフィの耳に大きな音が飛び込んできた。
銃声だった。
「銃声！？あっちのほうからかな。」
フィフィは大剣を抜き放つと、銃声が聞こえた方向に走りはじめる。
しばらくすると大量のモンスターと、それに襲われている数人の少女が見えた。
そのうちの一人、一番小柄で少しぽっちゃりとした少女が、二丁拳銃で応戦している。
かぶっている帽子から察するに聖職者だろう。
腕はなかなかのようだったが、他の少女達を庇いながらの戦いに苦戦しているようであった。
フィフィは彼女達を助けるため、即座にその場を目指した。


「くっ、数が多すぎて…これじゃ倒しきれないでふ！」
二丁拳銃の少女が顔をしかめる。
舌ったらずだが、口調にはあきらかに焦りが入っていた。
「！？」
獣型のモンスターが少女に噛み付いてくる。
しかしその一撃は、少女の周りに展開された、光の障壁によって防がれた。
防御用の魔法である。
「さすがに魔力ももう残り少ないでふね…ここはなんとか皆だけにでも逃げてもらわないと…。」
少女が玉砕覚悟でモンスターの群れに飛び込もうとしたとき、
大剣を持った少女―フィフィが大剣を振りかぶり、モンスターの群れに跳びこんだ。
小柄な体格からは想像もつかない強力な一撃が、数体のモンスターを斬り伏せた。
「ここはふぃふぃに任せて！」
そう叫ぶと、フィフィは勢いに任せてどんどんモンスターを倒していく。
一見力任せになぎ払っているだけのように見えるが、その技は熟練されたものだった。
「…すごいでふね。私も負けてられないでふ！」
少女も体制を整え、再び戦い始める。
突然の乱入者に連携を崩したモンスター達はすでに二人の敵ではなかった。
そしてしばらく後、不利を悟ったモンスター達は散り散りに逃げていった。
「ふぅ…なんとかなったでふね…。助かったでふ、ありがとうございまふ。」
『ありがとうございます。』
少女達が口々にフィフィにお礼を言った。
フィフィは頬をぽりぽりと掻きながら、
「まぁ、たまたま通りがかっただけだよ。でも皆助かってよかったね。」
「そうでふね。皆たいした怪我もなくってよかったでふ。何かお礼がしたいんでふけど…。」
「う〜ん、あっそうだ。この辺に街があるはずなんだけど…。」
「あ、私たちの住んでる街でふね。ちょうど帰るとこでふし、案内しまふ。」
「うん、それじゃあおねがい〜。あっふぃふぃって言うの。よろしくね〜」
「私はラキュリアでふ、リアって呼んで下さい。それじゃあ皆行きましょう。」
こうしてラキュリアにつれられ、フィフィは街へと到着した。


ラキュリア達の住む町は結構大きく、活気に満ち溢れていた。
「ほぇ〜、すごいところだねぇ〜。」
フィフィが感嘆の声をあげる。
「そうでふね。この辺りでは一番大きな街でふ。」
「とりあえず…宿のある場所を教えてくれる？」
「ああ、それだったら私がお世話になっている神殿に来るといいでふ。」
「それじゃあおじゃましよっかな。よろしくね。」
「では付いて来るでふ。」
他の少女達と別れ、フィフィとラキュリアは街の中心にある神殿に向かった。
しばらくすると街で一番大きな建造物にたどり着いた。
「ここでふ。ちょっと待ってて下さい。今話をしてくるでふ。」
数分後ラキュリアが戻ってきた。
「お待たせしましたでふ。入るでふ。」
神殿の中に入ると、司祭らしき男がよってきた。
「旅人よ、われわれはあなたを歓迎します。
　たいしたおもてなしはできませんが、どうぞ旅の疲れを癒していってください。」
「うん、おじゃましまーす。」
ラキュリアに案内され、部屋に通された。
「ここがフィフィさんの部屋でふ。隣は私の部屋でふから、何かあったら呼んで下さい。」
「うん、ありがとー。」
そう言うとラキュリアは用があるといって行ってしまった。
通された部屋は、質素なつくりだが落ち着いていて、旅の疲れを癒すのにはぴったりだった。
「わーいひさしぶりにベッドで寝られるよ〜。」
よほど嬉しいのか、何度もベッドで飛び跳ねるフィフィ。
こういうところはまるで子供である。
「さてと、これからどうしよっかなぁ…」
その後、夕食をご馳走になり、お風呂にも入ってすっかりご満悦のフィフィであった。
ラキュリアもお風呂に誘ったのだが、色々忙しいらしく、やんわりと断られた。
「う〜ん、残念。でもまっ夜はこれからだしねぇ〜。」
そう言ってフィフィは少しいたずらっぽい笑みを浮かべるのだった。


その夜…ラキュリアの部屋にて。
ぐっすりと寝ていたラキュリアは、突然身体に重圧を感じて目を覚ました。
「…なんか寝苦しい…ってえぇ！？」
なんと、フィフィがラキュリアに馬乗りになっていたのである。
「あっリアちゃん起きた？」
「ちょ、ちょっと何してるんでふか！？」
慌てて飛び起きようとするが、フィフィの馬鹿力にはかなうはずもなく組み伏せられてしまう。
「いやぁリアちゃん可愛いし、しんぼくを深めようかと思って。」
「こんな親睦の深め方まちがってまふ！
　それに私は聖職者なんでふよ！やめて下さい！」
ラキュリアは必死に抵抗するがそれも空しく…
「大丈夫。あの人ほどじゃないけどふぃふぃだってけいけんほうふなんだからっ。」
「いや、いやぁぁぁぁぁ！」
こうしてラキュリアは、寝不足に陥ることになった。（合掌）


翌日。
「………ふぁぁぁ。酷い目にあったでふ…。」
目覚めたラキュリアは、隣で眠っているフィフィを見る。
「すーすー。」
「……無邪気な寝顔でふね。」
フィフィの無邪気な寝顔を見て、毒気を抜かれてしまうラキュリアであった。
「……早く…逢いたいよ…。」
ふいにフィフィが呟いた。
どうやら何か夢を見ているようだ。
その頬には涙がつたっていった。
「……どんな夢を見てるんでふかね…。」
ラキュリアはフィフィに毛布をかけなおしてあげ、着替え終わると、
朝食の準備を手伝うために部屋を出た。


「それじゃあお世話になりました〜。」
フィフィは司祭に挨拶をして神殿を後にしようとしていた。
ラキュリアの姿はない。
まぁしょうがないかな…とフィフィは思っていたのだが、
「まつでふ！」
ふいに舌ったらずな声で呼び止められ振り返ると、
旅支度を整えたラキュリアがいた。
「リアちゃん…？」
「私も一緒に連れて行って欲しいでふ。
　私も久しぶりに旅をしてみたくなったでふ。」
「…いいの？」
「これでも腕には自身がありまふし。
　旅は初めてじゃないでふ。」
「そう…じゃあ改めてよろしくねリアちゃん。」
フィフィは嬉しそうにラキュリアの腕を掴んでぶんぶんと振った。
「あいたたたたた。腕がちぎれまふ！」
「あ、ごめん。」
慌て手を離すフィフィ。
「それと…リアちゃんはやめてほしいでふ。これでももう26歳でふ。」
「あ、ふぃふぃより年上だったんだ。それじゃあリアさん…かな？」
「それもなんだかくすぐったいでふね。もう呼び捨てでいいでふ。」
「じゃあよろしくねリア。あっふぃふぃのこともよびすてでいいよー」
「うん。よろしくでふフィフィ。」
こうして、フィフィとラキュリア二人の旅は始まった。
二人の行く先に何が待っているかは…まだわからない。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つーびーこんてぃにゅーど




キャラ紹介1


フィフィ（16歳女）

憧れのある人を探して、様々な世界を飛び回る旅人。
小柄な体格に似合わない馬鹿力で大剣を振り回す。
極度のねぼすけで、ほっておくといつまでも寝ている。というか気が付いたら寝ていることも。
「けいけんほうふ」を目指して、数々の女性を抱いてきた迷惑娘。
なお魔法の素質はあるようだが、今のところそれを行使することは出来ない。


ラキュリア（26歳女）

人間とドワーフのハーフ。
よって歳の割りに背は低くぽっちゃりしてて、舌ったらず。
癒しの魔法を行使できる聖職者であり、二丁拳銃を駆る銃使いでもある。
冒険が好きで、フィフィの旅に同行することになった。
口調こそあれだが、真面目な性格でフィフィの良きツッコミ役。




あとがき


というわけで（どういうわけだ）第一話お届けしました。
文章力無いですが、暇つぶしになってくれれば万々歳で。
しかし一話目からそれかいフィフィ…。
この娘の将来が不安です（汗）
とりあえず週一くらいで更新できるといいなぁ…と思っているユッザーでした。
それではまた次回。